定義
ファインセラミックスとは、JISに「化学組成、結晶構造、微細組織・粒界、形状、製造工程を精密に制御して製造され、新しい機能又は特性をもつ、主として非金属の無機物質」と定義されています。耐火物など旧来のセラミックス製品は主に天然原料を使用するのに対して、ファインセラミックス製品は微細な高純度の人工原料を使用し、精密に制御されたプロセスで製造されます。
一般的に硬くて強度が高い性質を有しますが、金属に比べて脆い性質(脆性)があります。
製造プロセス
ファインセラミックスは、厳選された原料を混合・粉砕し、成形したものを、熱をかけて焼き固める方法で作られます。各プロセスでは、「均質な」製品を製造するため様々な技術や工夫が要求されます。当社はセラミックス材料メーカーとして長年にわたる製造技術の蓄積があり、原料処理から成形、焼成、加工に至るまで一貫して自社で生産しています。
「均質な」、「優れた」製品を製造するポイントの一部をご紹介します。
1)原料を均質に混ぜること
ファインセラミックス製品は主にサブミクロンオーダーの微細な原料を使用しています。この様な微細な粒子は、分子間力や静電気力などによって凝集する性質があります。原料が不均一に凝集した状態で成形、焼成すると、密度が不均一になったり歪みが生じて製品にクラックが入ったりします。したがって、本来の性能を発現させるためには、原料を均質に分散させることが重要になります。そのために、原料に最適な粉砕・混合技術が要求されるのです。
2)製品に最適な方法で成形すること
原料組成や製品形状、生産量などに応じて最適な成形方法を選択します。この時、焼成後の加工方法や要求される寸法精度などを考慮して成形方法を決定し、型を設計します。主な成形方法を下表に示します。
形成の種類 |
形成方法 |
適した製品 |
機械プレス |
原料粉末を金型に投入し、一軸加圧方式で成形する方法。 |
平板・円柱などの単純形状
小型製品 |
射出形成 |
熱可塑性樹脂などを添加した原料を加熱し、金型に充填して成形する方法。 |
複雑形状
小型製品 |
押出形成 |
熱可塑性樹脂などを添加した原料を加熱し、金型から押出して成形する方法。 |
パイプ状の長尺製品 |
冷間静水圧プレス |
金型、ゴム型を使用し、水中で等方的に加圧して成形する方法。 |
パイプ、板、ブロック形状
大型製品 |
鋳込成形 |
原料を良く分散させたスラリーを吸水性の型に流し込み、水分を型に吸収させて成形する方法。 |
平板、円筒形状 |
3)それぞれの製品に合った最適なプロセスで焼成すること
成形体を加熱すると、隣り合う原料粒子が融点よりも低い温度で除々に接着し粒子間のすき間が小さくなると同時に全体が収縮します。この現象を「焼結」といいます。この焼成工程で、製品の密度、気孔率や導電性など製品の特性が決まりますので、焼成温度、焼成時間、雰囲気制御、窯詰め方法など長年にわたる製造技術の蓄積が重要になっています。
4)検査
不良品例
ファインセラミックスの様な脆性材料は、目視では識別が困難な微細な欠点があるだけで、その欠点に応力が集中し破壊に至ることがあります。したがって、僅かな欠点やクラックを見逃さないために、蛍光探傷による外観検査を行っています。